フリーランス1年目が思う見積りのあれこれ

見積もり
この記事はAdvent Calendar 2016の「フリーランスの今年とお金の話」2日目の記事です。カレンダー共通のテーマは「フリーランスのお金にまつわること」
一番ナイーブで、一番大事なお金のハナシ。
といっても、自分はフリーランスまだ1年目なので皆さんほどお金にまつわる面白いハナシを持っていないのが正直なところ…。
というわけで自分は「価格設定や見積もりについて思うことや決めていること」を中心に少し綴ってみました。

…の前に少しプロフィールと略歴

「イシダのデザイン」という屋号でデザイン制作を中心に活動しています。
基本的にWeb制作が中心ですが、紙・パッケージや企業様のロゴタイプ・写真の撮影など、媒体等を限定せずに幅広く活動させていただいています。
在住は東京ですが出身は大阪の枚方市という「ひらパー兄さん」で少し有名?な街です。
そういえば、枚方って地図的には「ほぼ京都」なので、人から出身を聞かれたら「京都」って答えています。文句ある?
その関係(どの関係 笑)でJリーグもガンバ大阪・セレッソ大阪じゃなく京都サンガを応援しています。
(一日目を担当された spicagraph(スピカグラフ)の角田綾佳さん も枚方が拠点とのことでちょっと親近感)

フリーランスになるまでの略歴

フリーランスになる前はというと、大阪の制作会社でグラフィック・Webデザイナーとして2年間。その後は東京でECやメディアサイトを運営している事業会社に転職。そこでデザインや撮影・ライター業務など、わりとデザインに限らず色々と経験させてもらった感じです。
フリーランス9ヶ月目ですが日々楽しくお仕事しています。
ありがたいことに、お付き合いさせていただいている方は皆さんとても良い方、良い会社さんばかりで、本当に恵まれているなと実感しています。

といっても、お金に関しては色々悩むことだらけ…

やはりお金のことは色々大変。特に見積りは一番神経を使います。
ここからお金のハナシになりますが、自分がフリーランスとして仕事する上での「見積もりや料金設定について意識していること」についてお話します。

料金表は載せない

「イシダのデザイン」のWebサイトには料金表はありません。
これは個人的な考え方ですが、フリーランスは(フリーのWeb屋は特に)料金表を自分のサイトやSNSにあまり大々的に載せるべきではないと考えています。
体力と人手が十分な中規模以上の制作会社や定額サービスなどをウリにしているところならまだ意味があるかもしれませんね。
料金を載せるべきではないというよりは、web制作の場合特にそうですが、原稿も仕様も決まっていない状態でページ単位の価格なんて出ないです。というか不可能。
自分の場合デザイン以外にもコーディングもやります。あとはjavaScriptなどの実装、CMSカスタマイズもワンストップで担当する案件が多いので、仕様によって制作料金におおきな違いがでます。

見積もり方の工夫

ちなみに、見積書として発行する前の「工数・料金計算」はスプレッドシートを使っています。

見積もりフォーマット
スプレッドシート:ぼかしばかりですみません。
  • 構成企画・ワイヤー設計
  • デザイン
  • コーディング
  • システム

Webサイト制作の見積もりの場合、これくらいの項目に分けて、階層やページごとに原稿量や仕様を備考欄に記入していきます。そこから算出した工数と、あらかじめ係数として設定してある時給額とを「工数(h)× 時給額」で掛け算して概算を出します。
さきほど紹介した4つの項目別に時給額を変更できるようにしているので、なんらかの事情で「ワイヤー設計」のみの単価を上げる場合やその逆も、その項目の時給額を増減させることですぐに再計算できるようにしてあります。
まだまだ事例も少なく見積もりについては試行錯誤中ですが、この方式なら相場から大きくズレることもなく、どんぶり勘定な見積もりにもならないので重宝しています。
このように、
制作料金は「工数」「納期」とあとは「予算」があってはじめて数字が見えてくると思っています。

曖昧な料金表は自分の首を締めそうで…

先輩方から「すぐに出せないのは経験が浅いからだよ」という声が聞こえてきそうです。
もちろんその通りです…。
ですが、料金を掲げているサイトを見ても結局は
「下層1ページ:5,000円~(但し原稿量によって変動します)」とか、
注釈ありきの曖昧な金額になっているところがほとんどですよね。
複雑な見積もりになればなるほど、
料金表で自分の首を締めそうなので自分は載せない方針です。
今、ふと思いましたが、料金表ってもしかして相見積目的の問い合わせを門前払いする意味合いのほうが強いのかな?だったとしたらまだ意味があるかも。
もちろんグラフィックデザインの場合は表面上のデザインが多く締めるので、料金表は全然ありかと思います。

話はそれますが、Web制作の料金表で「A4 / 1ページ分で○○円」みたいなのをたまに見かけますが、あれって、もしA4の中に文章キツキツに詰め込まれてたらどうするんだろうって思います…。ああいうのは、一昔前の風習やグラフィックデザインでの料金設定の名残なんでしょうか。

「ともだち価格」は設定しない

友人・知人のみなさんごめんなさい。
イシダのデザインは「昔からの仲だから」「長い付き合いだから」という理由だけで、しかるべき金額から単に値引きするような形での「ともだち価格」は存在しません!
やはり仕事である以上は責任が伴います!
責任ある以上は成果をあげる必要がある!!
成果をあげるからには対価を求める義務がある!!!

正当な報酬を求めることは「権利なんかじゃない、義務だと思うんだ」
なので…。
馴染みの取引先でも友達でも親戚であっても関係ありません。そこで気持ちよく思われないならそもそも引き受けません。
やっぱりお仕事である以上はお互いに満足いく結果じゃないと関係性にも影響が出ますしね。もちろんちゃんとした理由があっての料金変更のケースはありますよ。

単なる値引き・相見積・コンペはすべてお断り

さきほどの「ともだち価格」とも通じますが、単なる値引き交渉と相見積目的の見積依頼、そしてコンペ案件については今のところすべてお断りしています。
「新人のくせに強気だな」
こう思われるかもしれませんが長期目線で考えると、個人規模で「値引き・相見積・コンペ」の3要素とベタベタお付き合いするのはマイナスにしかならないと思います。

安易な値引きが出来ないのは「どんぶり勘定」じゃないから

単なる値引きについては「意味がわからない」のでお断りしています。
値引きを提案された場合、まずは値引きしたい理由をお伺いします。それが本当に予算の都合であったり双方にとってメリットがある場合は条件・仕様を変更した上で再度ご提案することは多々あります。
さきほど紹介したスプレッドシートの見積もり方からもわかるとおり、
「どんぶり勘定」の見積もりじゃないから安易な値引きが出来ない。
これは会社ではなく独りでやっているからこそ余計です。そんなワケで理由のない値引きはお断りしています。
デザインやWeb制作ってよく建築に例えられます。なので単なる値引きに対しては、
「でしたら、トイレはボットン便所にしてリビングの支柱を一本抜いておきますね^^」
とご提案することもかもしれません。

価格競争目的の相見積もお断り

原稿や仕様がすべて決まった状態での「あとはつくるだけ」の見積なら金額を弾き出すことはあるかもしれません。
ですが。
相見積もりってたいてい「ざっくりとした要件に満たない未確認生物」がそこにいるだけの状態で見積もらされることが多いです。
「◯◯だと仮定して△△の仕様はこうで……」と考えて料金を出したところで、競合相手と設計方法や条件・考え方などが違えば金額も違うのは当然。
その仕様を加味したうえで検討いただけるならまだしも、相見積の目的ってはっきりいうと「金額」であることがほとんど。
で、
「金額」のみにスポットが当たる案件なんて100%地雷化する。
そこで消耗する体力と時間が惜しいので、価格競争目的の見積もり依頼はお断りしています。
「1円でも安く」ではなく
「1%でも高い効果」をうむもの

ここを目指していけるクライアントさんと仕事がしたいですね。

提案料のないコンペは「タダ働き」以下

提案料のでないコンペも嫌いです。
はっきり言いますけど「タダ働き」です。
特にクラウドソーシングのコンペ形式?
なんだあれはって感じです。
(ソ)「低料金でたくさんの提案が受けたい方におすすめ!!」
はぁァあああ!?

あれは、応募してる人にも「何してんだお前」って感じです。

コンペなんてのは前時代の負の遺産で依頼者側にしかメリットがないアンフェアな方式です。
社内コンペは例外です。「市制100年記念ロゴコンペ」とか町おこし的なイベントもまだ許せますが。
あらゆるツール・手段を使ってセルフブランディングがいくらでも可能な時代。コンペなんてしなくとも、事前にお互いの実績や顔をうかがい知ることも容易いご時世ですから、こういう文化はなくなって欲しいです。

将来的には見積もりも「有料化」

いずれは見積もりも有料化できたらいいですね。
ずっと、このお仕事をしてたらですが。
そのためにはまずは「自分のクリエイターとしての価値」を高めること。
そしてできるだけ見積もりのフェーズを

  • 簡略化
  • 自動化
  • 正確性の向上

これを目指してやっていかなければなりません。
そのために見積もりの精度と仕組みはどんどん向上させたいなと思う、そんな今日この頃でした。

この記事を書いた人

石田 真啓|komete 代表